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パナマペーパー 世界一斉暴露 - 脱税者の面々

パナマペーパー 世界一斉暴露 - 脱税者の面々
このニューヨーク並みの摩天楼。世界中から集まる金でパナマは大金持ち!!

日本と異なり、欧米では政府は「疑う理由」があれば、銀行に問い合わせて、市民、一人一人の銀行口座明細を取り寄せることができる。

これは口の堅いスイスの銀行でも例外ではない。

「○○さんが、スイスに口座を持っていませんか。」

とドイツの税務署が問い合わせたら、スイスの全銀行は顧客のデータを提出する義務がある。

だから欧米では脱税は難しいのだが、だからといって脱税がなくなるわけではない。中には単に

「税務署にはわかりやしない。」

と高を括っている人もいる。

実際、ドイツの税務署がスイスなどの外国に問い合わせることは稀で、疑惑がもちあがった場合に限られている。しかし最近、その具体的な疑惑が、結構、頻繁にあがるようになってきた。

一体、何があったのだろう。

AIA / 口座保持者の情報自動交換条約締結



2008年、脱税天国リヒテンシュタインの銀行から顧客データが盗み出された。

犯人は法を犯して手にしたデータから数枚のCDを焼くと、ドイツの税務署に送りつけた。

「いい情報がありますよ。買いませんか。」

というわけだ。税務署は添付されていた「サービスCD」をチェックすると、これは「宝の宝庫」である事を確信、高い金を払ってこれを購入した。

数ヵ月後、このデータが原因で有名人が脱税容疑で逮捕された。

これを機会に脱衣天国と呼ばれる国の銀行から、データ漏れが止まらない。銀行員が、

「金持ちの金を数えるのは馬鹿馬鹿しい。」

と顧客のデータを密かにコピー、これをドイツの税務署に売れば、一生、遊んで暮らせる金が入っている。そのような魅力に抵抗できる人間は少ない。

スイスはデータを買ったドイツの税務署を盗難幇助で、データを盗んだ行員を盗難で訴えたが、全く効果がない。

結果、税金天国に所得を隠しているお金持ちは、

「いつばれるか?」

と心配で、枕を高くして眠れなくなった。ところがこれはまだ発端に過ぎず、次にはアメリカからの

「スイスをブラックリストに載せるぞ。」

という脅しが続いた。

米国の財務省からの目の飛び出るような罰金に舌を巻いた銀行は降参、こうして主要国の間でAIA / 口座保持者の情報自動交換条約条約が締結され、脱税天国の数はますます減ることになった。

参照 : スイス財務省

ドイツ人が経営するパナマの法律事務所



欧州で脱税天国の数が減ると、残っている脱税天国の法律事務所はかってない好景気に湧いた。そのひとつが南アメリカはパナマにあるMossack Fonseca 法律事務所だ。

ドイツ人が経営するこの法律事務所は、当然ながらとりわけドイツからの顧客が多い。ドイツ人のお金持ちが国内の銀行で、

「資産を隠したい。」

と相談すると、このドイツ人が経営するパナマの法律事務所が薦められるのが定石だった。何しろ言葉が通じる安心感は大きい。

ちなみに創業者の父親はドイツ軍の新鋭部隊SSの生き残りで、戦後ドイツを脱出、パナマに逃げてきたというオチまでついている。ではパナマにおける資産隠しは、どのように行われるのだろう。

脱税方法 - パナマ現地法人



顧客からの依頼が来ると、この法律事務所はパナマに現地法人を設立する。

ここで言う会社は俗に言う、"Briefkastenfirma"(郵便受け会社)で、登録だけ。会社の支店は物理上存在していない。実際には郵便受け会社なのに、その住所に行っても郵便受けもないという徹底振り。

現地法人の名義は社員名義にするので、顧客の名前は表に出ず、何処かの税務署が調べても足がつかない。本国で要職にある政治家は、賄賂をこの現地法人に送金してもらえば、自分の名義ではないので、本国では全くわからない。

現地法人を利用するのは何も政治家ばかりではない。真面目に仕事をして大金を稼いだ人は、ここに資産を移してあちこちに投資する。

投資からあがった収益には、ドイツなら28%程度の税金がかかるが、税率の低いパナマならわずか7%で済む。

現地法人を利用するのは何も政治家やお金持ちだけではない。テロや戦争をするには膨大な金がかかる。

お金持ちの産油国はこの現地法人を使って、イスラム国を支援した。そしてイスラム国などのテロリストはこの現地法人を使って、実行犯であるテロリストに資金を送る。

この現地法人システムは、架空の名前で自由に金を隠したり、流用できるまさに完璧な脱税システムだ。

パナマペーパー 世界一斉暴露



ところが幾ら完璧なシステムでも、人間がいる限り、ほぼ必ずリークする。

米国の諜報機関の機密情報漏れなど、どれも漏れる訳がないと思われていたが、結局は漏れた。今回も例外ではなかった。

2015年、ドイツの著名な新聞社に膨大な量のデータが持ち込まれた。そのデータはなんと2.6テラバイト。過去に有名になったリークのデータ量を遥かに凌駕していた。

同社は社内および、信頼できる他社から補佐を受け400人にも上るデータの解析チームを組むと、数カ国に分かれてこのデータの解析に当たった(日本の報道機関は信用されず、お声がかからなかった。)

解析が進むと、持ち込まれたデータはドイツ人がパナマで経営する法律事務所のデータでることが早い段階でわかった。

そのデータは完璧なデータで、この事務所所の設立時の70年代から今日にいたるまでのすべての顧客のデータ、契約書、メール、FAX、パスポートのコピーなどのデータが含まれていた。

記録されているのはなんと20万を上る現地法人。顧客はアラブの産油国から中国の書記長の家族、ロシアの大統領の側近、イランの前大統領、北朝鮮の独裁者まで、ありとあらゆる顔ぶれが揃っていた。

パナマペーパー 世界一斉暴露 - 脱税者の面々



1年近くデータの解析を行っていた新聞社は、4月3日に世界で一斉にこのデータ(一部)を新聞の載せて暴露した。

その反響はとても大きかった。ここに現地法人を持っていたアイスランドの首相は「休職」に追い込まれ、英国のキャメロン首相は、

「親父の口座なので関係ない。」

と関与を否定したが3日後には、「利益を得た。」と認めざるをえなくなった。

英国の報道機関は、「血のにおい。」をかぎつけており、首相近辺の緻密な調査に入っている。首相は、「税金は正しく払った。」と主張しているが、これが嘘だとわかった日には、退陣を余儀なくされるだろう。

ウクライナのポロシェンコ大統領は、ロシアが軍ウクライナに事介入している真っ最中に、パナマに現地法人を設立していた。

ウクライナがロシアに占領されたら、せめて自分の財産だけは確保しようという態度が見え見えだ。

そして汚職に揺れるFIFA。FIFA の会長、副会長などに謹慎処分を言い渡した倫理委員会のメンバーが、ここで現地法人を開設したことが判明、辞任に追い込まれた。

そして「汚職をなくす。」と就任した新会長も、現地法人を持っていることが判明した。北朝鮮の独裁者が現地法人を持っているのはわかるが、汚職摘発を進めている現中国の書記長の家族までここに現地法人を持っているのは、どうしたものだろう。

氷山の一角



今回の情報リークは氷山の一角に過ぎない。

今回露呈したのは脱税天国のたったひとつ、パナマのひとつの法律事務所のデータの一部に過ぎない。その他の税金天国に隠されている資金は、膨大な額に上る。

誤解を避けるために断っておくと、こうした脱税天国に会社を持つこと、あるいは口座を仲介することは違法ではない。だからパナマに現地法人を持っている全員が脱税を働いているわけではない(筈だ)。

今回のリークで、その他の法律事務所で働いている人間がこの事件にヒントを得て、先進国の税務署にデータの購入を持ちかけるかもしれない。お金ほど魅力的、かつ効果的な原動力はない。

将来、このリークがどのように発展するにせよ、資産を脱税天国に隠している人間には、辛い時期がやってくる。資産隠しがいつ暴露されるかわからず、今日は首相、書記長、大統領であんなに威張っていたのに、明日はただの人になりかねない。

世の中の風通しをよくするため、今後のさらなるリークに期待したい。
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