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ソラーパネルの業界最大手 Solarworld 倒産す

ソラーパネルの業界最大手 Solarworld 二度も倒産すまだイケイイケどんどんたっだ頃のFrank Asbeck氏

地球の温暖化はもう半世紀も前から、警告されていた。

しかし誰も気にしなった。ようやくここ10年で、地球温暖化による数々の弊害が目に見えるようになってきた。

そこで日本と米国を除く先進国では、政府が温暖化対策として、二酸化炭素の排出を削減する施策を次々と発表した。

ドイツ政府は二酸化炭素排出削減の一環で、再生可能エネルギーを補助金で推進すると発表。この決定に、

「山のようなユーロ紙幣」

を両目に輝かせたのが緑の党の政治家、兼、農家の"Frank Asbeck"氏だった。

Solarworld ソラーパネルの業界最大手に成長



ドイツ政府が高額な補助金を払って再生可能エネルギーを促進すると聞くと、アスベック氏は1998年、太陽電池パネルを製造する会社"Solarworld"を設立した。

翌年、同社の株価は1ユーロにも満たない額で上場されたが、政府の助成金がソラーパネルの売り上げと将来の展望を押し上げると、株価は1年で43倍になった。

補助金商売のコツはスピード。アスベック氏はこの点をしっかり理解しており、中国からの競争に押されて、

「儲からない。」

と悲鳴を上げだした同業者を次々に買い捲った。

まずは2006年にシェルの工場を、2007年には日本のコマツグループから、2014年には大赤字を出しているのに自動車部品メーカーボッシュから工場を買い取った。

2008年、金融危機が巻き起こした不況で車が売れなくなった。

ドイツの車メーカーが倒産寸前になると、

「オペルを買う。」

とまで言い出して、(買わなかったが)新聞のヘッドラインを飾った。アスベック氏は常に大口を叩く人間柄なので、同氏が言う言葉には要注意が必要だ。

解放された国内市場



アスベック氏のプランは、

「政府が高い補助金を出しているうちに、できるだけ多くのパネルを売る。」

という単純なものだったが、氏のずば抜けた行動力でこれが上手くいった。少なくとも当初は。

ところがドイツ政府の高い補助金は、ドイツ企業だけでなく、中国の太陽電池パネルメーカーも大いに助けた。

日本のように外国からの企業に対して国内市場を閉鎖、国民に国産の高い製品のみを提供して、北朝鮮国民のように

「他の国でも一緒。」

という誤解を国民が信じていればいい。ドイツではそうはいかない。日本と違い欧州には国境がない。

国内市場をEU内のメーカーは言うに及ばず、EU外のメーカーに対しても開放しているので、外国製品に対しても補助金を払った。

これにより、元々安かった中国製のパネルはドイツ製に比べて半額以下、競争できる値段ではなくなった。

それでもアスベック氏は"made in Germany"の高品質を声高に宣伝して、値段ではなく質で勝負しようとした。

ドイツ政府が高い補助金を払っている限りは、まだうまくいった。

太陽電池製造メーカーの大量死



再生エネルギーの高い補助金は、一般家庭が払う電気代に上乗せする形で財源を確保している。

高い補助金を目当てに次々とソラーパネルが設置されると、その額はうなぎのぼり。

お陰で一般家庭での電気代が上昇して、ドイツの電気代は欧州で一番高くなった。市民への負担が大きくなりすぎた。

消費者を保護するため、政府が補助金の額を制限すると、太陽電池製造メーカーの大量死が始まった。

世界最大の太陽電池メーカーだった"Q-Cells"は2012年に倒産

"Solarworld"も破産の寸前だったが、アスベック氏の大口が会社を救った。

臨時株主総会で株主に、社債の購入額の95%を自主放棄することを納得させた。

同時に中東のカターを投資家として獲得すると、氏は節約した金でドイツの有名タレントからボンの郊外に建つ城を買った。

「そんな金があるなら、会社の厚生に使うべきだ。」

という野次には、

「個人の生活に口出しするな。」

と回答、氏の大口ぶりを発揮した。

会社が倒産間際にあるのに、自身に多額のボーナスを払い(誇張ではなく本当の)城なんぞ買う社長には愛想を尽かすべきだ。

しかしこの時点でも投資家は氏の約束、

「節約した金で会社は再び黒字になる。」

をおぼれる者のように信じた。

ソラーパネルの業界最大手 Solarworld 倒産す



氏は、

「中国メーカーは太陽パネルの価格をダンピングしている。」

とEUはおろか米国でもロビイ活動。その成果あって欧州と米国は中国製のパネルに対して処罰関税を導入した。

同氏は中国では眼の仇になったが、欧州ではヒーローだった。これで中国製品の売れ行きは激減、"Solarworld"は黒字になる筈だった。ところがそうはならなかった。

2016年だけでソラーパネルの値段は20%も落ちた。

中国で需要を超えて生産された大量のパネルが、欧州に流れ込み続けているのが原因だ。

"Solarworld"は米国で民事の損害賠償裁判で敗訴しており、その請求額が7億ユーロ。2011年以来、赤字の自転車操業をしている会社が払える額ではない。

裁判での負けが、同社の倒産になることは誰の目にも明らかだった。

しかしアスベック氏は、

「負けたと決まったわけじゃない。」

と控訴、会社が黒字になるまで時間を稼ごうとした。同氏のプランでは2019年から黒字になり、借金も返せる筈だった。

そのプランは、ソラーパネルの値段が安定することが条件だった。

しかし2016年の大幅なパネル価格の暴落により、計算の辻褄が合わなくなった。

安くなったソラーパネルの価格で試算すると、同社は裁判の敗訴を2019年以降まで遅らせることに成功しても、

「黒字なる見込みがない。」

という結果が出た。こうしてドイツ最後のソラーパネル製造メーカー"Solarworld"は、2017年5月に会社更生法の適用を申請した。

悪いのは中国説



アスベック氏は同社の破綻の原因を、

「中国企業によるダンピングのせい。」

としたが、これは半分の事実だった。確かに中国製のパネルは安いが、ドイツ製のパネルと性能がほとんど変わらないのだ。

中国製の自動車がドイツ車と同じ性能で半額の値段だったら、誰がドイツ製の車を買うだろう。

高くてもドイツ車が売れるのは、メーカーが多額の資金を投資して常に性能、品質向上を図って、安い車と比較してはっきりとした差があるからだ。

しかし"Solarworld"は会社が儲かっているのに、ごくわずかの投資しかなかった。

「補助金でボロ儲けしているのに、どうして投資なんかする必要がある。」

というわけだ。結果、中国企業が性能でドイツ製のパネルに追いつくことが可能になった。

国内のソラーパネル製造業が死に絶えた責任は、政府にもある。

政府の高額な補助金が市場競争を歪曲させて、メーカーを間違った方向(技術革新ではなく、儲け)に誘導した。

国民の払った高い電気代は、中国のソラーパネルメーカーの世界制覇を助ける結果になってしまった。

時代の流れを寝過ごす自動車業界



同じことがデイーゼルエンジンについても言える。

ドイツのメーカーは

「デイーゼルより効率のいいエンジンはない。」

と主張、政府はメーカーによる排ガス操作に目をつむった。

ドイツの車産業がドイツ産業の旗艦だからだ。ところがその旗艦が米国で撃沈されてしまった。

ドイツの車メーカーは大急ぎで電気自動車への転換を図っているが、肝心要の蓄電池の製造は日本、韓国、中国企業の支配下にある。

ドイツの車メーカーは高い金を払って、アジアのメーカーから電池を買う以外に選択肢がない。

このように政府誘導の企業戦略には、落とし穴がある。

顕著な例は日本政府の原子力優先政策。この政策に乗ってしまった為、東芝は倒産間際まで傾いてしまった。

福島原発事故、事故後の手に負えない事故処理を見て、

「原子力に未来はない。」

と当たり前の決断を下してれば、今のような惨状は経験しないで済んだろう。しかし政府の原発推進計画が東芝の健全な経済活動をゆがめた。

ドイツはデイーゼルエンジンで、日本は原発で失敗した。そしてドイツは負けを認め、電気自動車攻勢を開始した。

一方、日本政府は未だに原発推進から政策を変更していない。これが両国の国策の大きな違いだ。
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